メンデルスゾーン交響曲第3番(クレンペラー)

この曲の第4楽章(a-moll)のコーダ部はむやみに明るい勇壮な曲調(A-Dur)になって、昔からなんだか違和感がぬぐえなかった。メンデルスゾーン自身もこの曲のコーダ部には満足していなかったらしい。このCDでは指揮者のオットー・クレンペラーが第4楽章第2主題をモチーフに自作したa-mollのコーダ部を演奏している。クレンペラー自身はこの演奏会のプログラムでこう書いているらしい。


私は、H・E・ヤーコブの本に、次のような一文を見つけた。
Mendelssohn was so worried about the male-chorus character of the ending
メンデルスゾーンはこのエンディングの男声合唱的性格を憂えていた)
(中略)
つまりメンデルスゾーン自身、このコーダに全く満足していなかったのだ。実際、このコーダは全く変だ。妙だ。(中略)
この私のバージョンは1音符たりともメンデルスゾーンによるものではない。ただ、美しい第2主題をその終結に導いてやっただけだ。(中略)この改変は多くの批判を受けるだろうが、しかし、私はこれが正しいと信じる。
聴いた感想。
確かにコーダ部もメンデルスゾーンの旋律である。しかし、メンデルスゾーンの響きには感じられない。
曲のその他の部分は「クレンペラーの(演奏する)メンデルスゾーン」だが、コーダ部だけ「メンデルスゾーンの(主題を用いた)クレンペラー」になってしまっている。
作曲の問題なのか演奏の問題なのかはわからないが、個人的には先月id:cozycozy:20050819聴いたクレンペラー/フィルハーモニア盤(こちらではコーダ部もメンデルスゾーンによる)の方が自然に聴けると感じた。