基準を定める目的

朝日新聞より。


滋賀の赤十字B型肝炎の課長が献血 偽名で計6回
2005年07月02日12時42分
 滋賀県赤十字血液センター草津市笠山7丁目)の課長(51)が、自分がB型肝炎ウイルス(HBV)に感染していたことを知りながら、偽名を使って6回にわたって献血していたことがわかった。血液は血液製剤などとして県内の医療機関に提供されたが、血液中に肝炎の免疫があることが確認されており、安全性に問題はないという。日本赤十字社の基準では、肝炎ウイルス感染者の献血は禁じられており、厚生労働省は「ルール違反で、問題がある」としている。
 同センターによると、この課長は以前からHBV感染を示すとされるHBc抗体と、免疫ができていることを示す別の抗体の両方を持っていたが、1997年6月に献血した際に、免疫を示す抗体がなくなっていることがわかった。その後、00年6月と7月にワクチン接種を受け、再び免疫が出来たことを示す抗体が検出されたという。日本赤十字社の内部基準では、一度でも献血に不適合と判断された場合は、安全性を確保する目的で、それ以降は献血の対象外としている。
 しかし、課長は01年8月から04年12月にかけて、氏名や年齢を変えて、別人の献血者コードを作成するなどして感染を隠して計6回、献血を続けていた。いずれも血漿(けっしょう)や血小板を得る「成分献血」だった。
 今年5月、同センターに課長自身が申し出て発覚した。課長は「血液の在庫が不足し、必要な献血量に少し足りない時があり、免疫もできていたので献血してしまった」と話しているという。

変異型(新型)クロイツフェルト・ヤコブ病vCJD)がらみで献血者の基準がどんどん狭くなっている(id:cozycozy:20050406参照)こともあり、輸血用血液は慢性的に不足しているのが現状である。人工血液が実用化されるまでは、献血由来の血液の需要が増すことはあっても減ることはないだろう。しかし、id:cozycozy:20050507でも紹介した通り、特に若年の献血者は減少傾向である。


B型肝炎感染者でも免疫があれば輸血しても安全性に問題がないのであれば、過去に献血に不適合と判断されても、その都度血液の安全性を評価するなど、献血者の基準を緩めることも検討してもよいのでは?とも思う。もちろん、国民の信頼を失うわけには行かないこの事業の性質上、現在の基準の厳格さにも理はあるわけだが。